コラム2025.07.17
電子カルテ導入にかかる費用はどのくらい?導入助成金なども紹介
電子カルテとは、患者様の診療履歴や経過、検査結果などの情報をデジタル化し、一元的に管理・閲覧できるシステムです。近年、業務の効率化やペーパーレス化、情報共有の円滑化といった観点から、多くの医療機関で導入が進んでいます。
「電子カルテの導入」を検討している場合、導入にかかる費用は欠かせない情報といえるでしょう。
今回は電子カルテ導入にあたって検討すべき費用や、導入時のコストを抑える方法などを解説します。
目次
・電子カルテ導入にかかる費用とは?
・電子カルテ導入時の費用に影響するポイント
・助成金・補助金の有効活用
・まとめ
電子カルテ導入にかかる費用とは?
電子カルテ導入にかかる費用は、種類や機能、カスタマイズ要件によって大きく異なります。
参考として、2016年の日本病院会の調査では以下のような結果が報告されています。
•民間病院(100床あたり): 年間約1,800万円
•国立病院(100床あたり): 年間約4,800万円
これは電子カルテを含む医療情報システム全体の費用を示したもので、病床規模が大きくなるほど複雑化し、費用も増加する傾向があります。導入費用の詳細は、医療機関のニーズや規模、選択するシステムによって異なるため、具体的な見積もりが必要です。
当社の電子カルテ「i-MEDIC Plus ++」の価格についても、施設の規模や要件などによって変動します。
電子カルテ導入時の費用に影響するポイント
クラウド型かオンプレミス型か?
電子カルテシステムには「クラウド型」「オンプレミス型」「ハイブリッド型」の三種類が存在します
| クラウド | オンプレミス | ハイブリッド |
費用 | 初期費用が安価 毎月運用費が発生 | 初期費用が高額 メンテナンス・更新費が発生 | 初期費用が高額 毎月運用費が発生 |
端末 | スペックを満たせば選択可能 | 指定されることが多い | スペックを満たせば選択可能 |
利用場所 | 制限なし | 院内に限定 | 設定により外部・院内で使用可能 |
ネット環境 | インターネットを利用 | 院内独自のネット環境 | インターネットと 院内独自のネット環境の 切り替え可能 |
サーバー | ベンダーが管理 | 院内に設置・管理 | ベンダー管理サーバーと 院内サーバーを併用 |
セキュリティ | ファイアウォールなど サイバー攻撃対策必要 | 院内運用のため サイバー攻撃等に強い | ファイアウォールなど サイバー攻撃対策必要 |
カスタマイズ | 自由度は低い ベンダーにより 制約かかる場合多い | 自由度は高い 規模や要件に合わせ カスタマイズ可能 | 自由度は高い 規模や要件に合わせ カスタマイズ可能 |
バックアップ | クラウドに保存 自然災害や停電対策可能 | ネットトラブル時でも オフライン保存閲覧可能 | クラウド/院内サーバー 両方に保存 |
クラウド型は、ベンダーが持つサーバーに電子カルテ情報を保存・管理し、そのサーバーからデータを呼び出して各種機能を利用するシステムで基本的に月額制です。オンプレミス型に比べれば初期段階では安価になる傾向です。
しかし、月額費用が発生し続けるため、長期間利用の場合、オンプレミス型の導入費用を上回る可能性もあります。
オンプレミス型は、院内にサーバーやネットワークなどを設置し、導入する医療機関の規模や要件に合わせて細かな設定ができるカスタマイズ性が特長です。しかし、システムのバックアップや保守管理に別途費用や時間がかかることもあるため、サーバー設置費用だけでなく毎月の運用コストも必要になります。
また、この2種の特長を併せ持つハイブリット型も存在します。クラウドと院内サーバーの両方にデータ保存する仕組みで柔軟な対応が可能ですが、価格はクラウド・オンプレミス型と同様に初期費用と毎月の保守費用が発生します。最近はサブスクリプション対応のソフトウェアも増えてきているため、価格帯は様々です。
レセコンとの連携
レセプトコンピュータ(以下レセコン)の導入形態には「一体型(内包型)」と「連携型」の2種類が存在します。
一体型
電子カルテとレセコンが一緒になったタイプで、情報の整合性維持やシステムメンテナンスも比較的容易なため、システム全体の導入費用は高くなりがちです。ただし、受付・診察・会計までが一元管理できるため、システム同士の連携設定によるトラブルが少ない傾向にあります。
連携型
日本医師会が提供するレセプトソフト「ORCA」と連携可能な電子カルテのことで、一体型に比べると導入コストを抑えやすい点が特長といえます。しかし、別システムとの連携や設定が必要な場合は、導入支援を受けるための費用が別途必要になるケースもあるため事前にベンダーに確認しましょう。
サポートの有無
ベンダーからのサポートを受けるかどうかも、電子カルテの導入費用に影響します。「サポートあり」の場合、基本的に月額制の保守サポートとして電話やメールなどで支援を受けることが可能です。継続的なサポートを希望する場合は、事前にランニングコストを確認しておきましょう。
カスタマイズの範囲
電子カルテは、導入施設のニーズに応じたカスタマイズが可能であり、そのカスタマイズの範囲によって費用が変動することがあります。
クラウド型:制約が多く、標準的な機能に依存する場合が多い。
オンプレミス型:柔軟なカスタマイズも可能。ただし、カスタマイズを依頼すると、導入費用に加えて開発費用がかかります。さらに開発期間が発生するため導入までの時間がかかる点には留意しなければなりません。
当社の「i-MEDIC Plus++」はクラウド型とオンプレミス型からお好きな導入方法を選択可能で、各施設のニーズに合わせたカスタマイズも行えます。このように一概に「カスタマイズしたいならクラウド型は選択肢から外すべき」とも言い切れないので、まずはベンダーに相談してみましょう。
ライセンス数
電子カルテは様々な料金プランがあり、同時に利用できる利用者数や端末接続台数などライセンス数に制限が設けられています。ライセンス数が増えるほど費用も高くなるため、無駄な費用が発生します。
医療機関の規模や利用者数によって必要なライセンス数も変わるので、適切な契約数を見極めて無駄な費用の増加を防ぎましょう。
助成金・補助金の有効活用
電子カルテの導入費用を抑えたい場合は、助成金や補助金を活用しましょう。
例えば、厚生労働省と地方自治体が連携して実施している「医療提供体制設備整備交付金」や、各自治体の推進事業(東京都の場合は「病院診療情報デジタル推進事業)、経済産業省の「IT導入補助金」といった助成金制度を活用しましょう。
ただし、補助制度には申請期間や対象条件がありますので、確認したうえで利用を検討する必要があります。
まとめ
電子カルテ導入費用は、システムの種類や機能、ライセンス数、カスタマイズ範囲によって異なります。導入を検討する際は、ベンダーに具体的な見積もりを依頼し、自院に最適なシステムを選定することが重要です。
また、助成金や補助金制度を活用することでコストを抑えることができます。申請条件や期間を確認しながら、積極的に利用しましょう。
価格だけでなくシステムの更新頻度やサポート体制、カスタマイズの柔軟性なども検討ポイントです。
当社では医療現場における費用対効果を追求できる電子カルテ「i-MEDIC Plus++」を提供しています。自院のニーズに合わせた柔軟なカスタマイズや見積もりも可能です。
ご気軽にお問い合わせください。
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※本記事の記載内容は2024年10月現在のものとなります。
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