コラム2025.07.17

電子カルテのクラウド型とオンプレミス型はどう違う?

医療業界ではデジタル変革の一環として、電子カルテの導入が進んでいます。紙ベースのカルテと比べて、業務効率化やリアルタイムでの情報管理など多くのメリットを有しており、大幅な業務効率化を実現できます。
 
 
今回は「クラウド型とオンプレミス型のどちらを選べば良いのか」とお悩みの方に向けて、それぞれの特長と違いについて解説します。 

目次

・クラウド型・オンプレミス型の特長
・電子カルテシステムの検討ポイント
・まとめ

クラウド型・オンプレミス型の特長

電子カルテには「クラウド型」と「オンプレミス型」、「ハイブリット型」の3種類があり、導入時にどちらを選ぶかを検討する必要があります。
 
 クラウドオンプレミスハイブリッド
費用初期費用が安価
毎月運用費が発生
初期費用が高額
メンテナンス・更新費が発生
初期費用が高額
毎月運用費が発生
端末スペックを満たせば選択可能指定されることが多いスペックを満たせば選択可能
利用場所制限なし院内に限定設定により外部・院内で使用可能
ネット環境インターネットを利用院内独自のネット環境インターネットと
院内独自のネット環境の
切り替え可能
サーバーベンダーが管理院内に設置・管理ベンダー管理サーバーと
院内サーバーを併用
セキュリティファイアウォールなど
サイバー攻撃対策必要
院内運用のため
サイバー攻撃等に強い
ファイアウォールなど
サイバー攻撃対策必要
カスタマイズ自由度は低い
ベンダーにより
制約かかる場合多い
自由度は高い
規模や要件に合わせ
カスタマイズ可能
自由度は高い
規模や要件に合わせ
カスタマイズ可能
バックアップクラウドに保存
自然災害や停電対策可能
ネットトラブル時でも
オフライン保存閲覧可能
クラウド/院内サーバー
両方に保存

クラウド型

クラウド型の電子カルテは、ベンダーが運用するサーバーにカルテデータを保存・管理し、インターネットを通じて各種機能を利用するシステムです。ソフトウェアの更新やメンテナンスはベンダーが対応するため、医療機関側の保守負担を軽減できます。また、データは常時バックアップされており、災害時の紛失リスクも抑えられます。
 
一方で、クラウド型の特性上、安定した通信環境が不可欠であり、インターネット接続が不安定な状況では、データの閲覧や入力に支障が生じるリスクがあります。また、外部からの不正アクセスを防ぐため、高度なセキュリティ対策も求められます。
 

オンプレミス型

オンプレミス型の電子カルテは、院内にサーバーやネットワークなどを設置し、ベンダーが用意したシステムを利用するため、データ管理は自院で行うことになります。
導入する医療機関の規模や要件に合わせて細かな設定ができるカスタマイズ性の高さや、院内でデータを直接扱うため、アクセス速度が速いという利点もあります。
 
ただし、オンプレミス型はメンテナンスの難易度が高く、バックアップやシステムの更新作業を自院で対応するか、ベンダーの対応を待つ必要があります。また、システムのバックアップや保守管理に別途費用や時間がかかることもあるため、サポートが充実している製品を選ぶことが重要です。

ハイブリッド型

上記2種の特性を併せ持つハイブリット型も存在します。こちらは、クラウドと院内サーバーの両方にデータを保存するため、有事の際に院内サーバーへの接続ができなくなった場合でも、クラウドに切り替えることで柔軟な対応が可能です。価格はクラウド・オンプレミス型と同様に初期費用と毎月の保守費用が発生しますが、最近はサブスクリプション対応のソフトウェアも増えてきており、価格帯は様々ですので、院内の環境に合わせて検討しましょう。

電子カルテシステムの検討ポイント

クラウド型とオンプレミス型のどちらを選択するか検討する際のポイントは以下のとおりです。他ツールとの連動性やカスタマイズ性、費用などについて解説します。

レセコンなどの他ツールとの連動性

電子カルテと他の医療機器やシステムが連携できれば、業務の効率化につながります。そのため、必要なツールとの連携が可能かどうかを事前に確認することが重要です。
例えば、診療報酬を請求するための レセコン(レセプトコンピューター) との連携は、代表的なケースです。
 
クラウド型の電子カルテは、ベンダーが提供するAPIを利用して他システムと連携できますが、互換性は製品によって異なります。
 
オンプレミス型の電子カルテは、任意のツールと統合できますが、技術的な対応が必要になる場合もあります。そのため、自院の医療機器やシステムとの連携可否を事前に確認することが大切です。

カスタマイズ性

クラウド型の電子カルテは、ベンダーが提供する機能や設定に依存するため、一般的にオンプレミス型ほど自由なカスタマイズはできません。
 
オンプレミス型の電子カルテは、院内でデータベースを管理するため、業務に適したシステムへのカスタマイズが可能です。
特に 「複数の施設を運営している」「精神科病院や透析機関などの専門性が高い医療機関である」 などの理由で、柔軟なカスタマイズが求められる場合は、オンプレミス型の方が適しています。
 
ただし、当社が提供する電子カルテ 「i-MEDIC Plus ++」 のように、利用者様の要望に合わせたカスタマイズが可能な製品もあります。クラウド型を検討する際は、カスタマイズ性も事前に確認するとよいでしょう。

費用

電子カルテの導入費用は、「初期費用」と「ランニングコスト(月額費用)」に大別されます。
 
初期費用のみを比較すると、一般的にはクラウド型の方が低コストで導入しやすい傾向にあります。しかし、長期的な運用コストでは、オンプレミス型の方が割安になる場合もあります。
 
・クラウド型:「初期費用を抑えたい」「電子カルテを試したい」場合に適している
・オンプレミス型:「長期的に自院に最適なシステムを導入したい」場合に適している
 
導入費用を抑えたい場合は、各種助成金制度の活用も検討しましょう。
例えば、以下の支援制度があります。
・「医療提供体制設備整備交付金」(社会保険診療報酬支払基金)
・「病院診療情報デジタル推進事業」(東京都など自治体の支援事業)
・「IT導入補助金」(経済産業省)
こうした補助制度を活用することで、導入コストの負担を軽減できます。

まとめ

クラウド型の電子カルテは、低コストでの導入が可能で、維持・管理の負担が少ない点が大きなメリットといえますが、一般的にカスタマイズ性が低い傾向にある点はデメリットといえます。
 
オンプレミス型の電子カルテは、カスタマイズ性の高さがメリットといえますが、初期費用が高額になりがちで、システムの維持やアップデートにも専門知識が必要です。
 
ハイブリッド型は両方の利点を併せ持ちますが、その分費用は高額になるため、導入する電子カルテを選定する際には、自院の規模や要件、予算などを事前に考慮し、最適なシステムを慎重に検討しましょう。
 
当社では、さまざまな医療現場における使い勝手を追求した電子カルテ「i-MEDIC Plus++」を提供しています。
クラウド型・オンプレミス型そしてハイブリット型に対応しているため、ご利用者様のニーズに合わせたカスタマイズが提供可能です。
ご気軽にお問い合わせください。

関連リンク


※本事例で記載されている会社名および製品名は、各社の商標または登録商標です。
ページトップへ
i-MEDIC Plus

i-MEDIC製品についてのご相談、医療・介護連携についてなど、
お気軽にお問い合わせください。

今すぐお電話を!

〈 製造開発・販売 〉